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【正当防衛】 米国フロリダ州の黒人少年銃殺事件で正当防衛が成立するとして,被告人に無罪判決が言い渡され,大きな社会問題となっています。日本の正当防衛の要件は,米国フロリダ州法とではどのように異なっているでしょうか。

2013年8月5日

日本の刑法では,概略して,以下の要件を満たす場合に正当防衛が成立し,他人の法益を侵害しても違法性がないとされています(刑法36条)。
1 急迫不正の行為があったこと
2 防衛の意思に基づく行為にあること
3 防衛行為が防衛手段として必要最小限であること(相当性が認められること)
ただ,盗犯等の防止処分に関する法律1条では正当防衛の特例が定められており,相手が住居に侵入してきた場合等については,急迫不正の侵害の要件,防衛の意思の要件が緩和されています。
 米国フロリダ州のケースではフロリダ州法“Stand・Your・Ground・Law”を適用し,正当防衛の成立が認められたようです。同法は不法侵入者に対する防衛行為については正当防衛が成立するとされており,かつ,不法侵入場所を限りなく拡大させる解釈がされてきているとのことです。
 上記のフロリダ州法は,日本の盗犯等の防止処分に関する法律1条に類似するもののようですが,ただし,同条でも防衛行為の相当性の要件は緩和されていません。日本法では,急迫不正の侵害に対する防衛手段として必要最小限にとどまる限度で正当防衛の成立が認められます。
どのような行為が必要最小限と評価できるかは具体的事案によって検討せざるを得ないのですが,一般的には,相手方に対し,実際に攻撃を与える防御行為については,①他に採り得る防衛手段があったかどうかが検討されます。そして、②より侵害性の低い他の防衛手段も採り得た場合には,より侵害性の低い手段を採らなかったことが不当といえるかが,検討されます。検討の結果,より侵害性の低い手段が採り得たのに,不当にその手段を採らなかった場合には,もはや防衛行為の相当性は認められず,過剰防衛とされます。
 米国フロリダ州のケースでは,射殺された黒人少年は17歳のか細い少年であり,武器も持っていなかったようです。これに対し,射殺した側は29歳の屈強そうな男性でした。体力的には29歳男性の方が優位にあり,両者がもみ合いになったとしても,拳銃の発砲という手段しか採り得なかったとは認められ難いように思われます。
 日本法の先の判断基準で拳銃発砲の防衛手段につき正当防衛の成立の余地を検討すると,例えば,体力的に圧倒的に勝る相手に馬乗りになって制圧された上,首を両手で絞められるなどし,生命が危険に晒されているという状況下で,たまたま持っていた拳銃を発砲するほか侵害を排除できなかったようなケースでは正当防衛が成立する余地がありそうです。ただし,拳銃を所持していた件では,別途,銃砲刀剣類所持等取締法違反は成立するので無罪にはなりません。



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